S15のクラッチをEXEDYのカーボンRツインクラッチからATSのカーボンブレードクラッチへ換装。純正フライホイールで共振音とおさらば
前回奮闘したミッション交換作業はこちら。
あれから2年ほど、カーボンRツインクラッチを使っていました。うん、いいところも悪いところもわかった。
性能に不満があるわけじゃなく、ただ単純に疲れたの。軽量フライホイールが原因のミッションの共振音と、圧着力の高いカバーからくる踏力に。街乗りで一番使う回転数(2000〜3000回転)に共振ポイントが来るから、共振音がしょっちゅうガラガラ言うのも思った以上に疲れました。それ以上にクラッチの踏力ね。ペダルを踏み込むとシートから体が浮くっていうのはどうよ?(笑) 今日はペダルが重いと感じたら、たいてい体調が悪い時。
そんな状態からおさらばするために、純正フライホイールに戻そうと思い立ちました。これで共振音からは開放。失うものもあるけどね。今回搭載するクラッチはこちら。ATSのカーボンブレードクラッチ。
ATS カーボンブレードクラッチの特徴
- ダンパー付きディスクで低騒音・低衝撃。見た目も安心。
- 軽くて高精度のカーボン3枚羽でスムーズなシフト操作。
- ノーマルよりも軽いペダル操作。(カバー圧着1000kg時)
- 剛性感のある半クラッチ操作はやさしくてスッキリさわやか。
- CCコンポジットのカーボンだからフェード、バースト無し。
- 高伝達トルクMAXZ35kgm。(カバー圧着1000kg時)
- ATSカーボンだから低温時にフル加速しても滑らない。
- 安心の無料点検でベストコンディションを維持して長寿命。
- ダンパー無しのカーボンクラッチよりも低価格を実現。
このクラッチの特徴は、純正カバー互換のところ。ATSの専用品を使う予定はありません。歳を重ねた左足には、強化クラッチカバーくらいでちょうどいいんですよ・・・。
クラッチ本体は少しでもダイレクト感を求めて、ダンパーレスタイプをセレクト。ダンパーありだと操作はマイルドになりますけれど重量が増えます。クラッチ本体の重量はクラッチを踏んだ状態でのブリッピングの反応速度に影響がありそうですから、クラッチの重量もできる限り軽いほうがいいと思いダンパーレスタイプをチョイスしました。
購入したのは150kmほど走っただけの中古になります。カバーは組み合わせはRGの強化クラッチカバーをチョイス。ATS指定のカバーではないので、上記の条件通りの性能にはならないと思います。ATSのもので1300kg。純正クラッチカバーの圧着力は570kgほどらしいです(うろ覚え)。RGので850kgかな?数字上ではかなり重たくなるように見えますが、感覚的にはどうなることやら。楽しみなところですね。
ツインカーボンクラッチの気に入っている点
カーボンRツインクラッチは、ペダルを踏むとシャリシャリとメタルっぽい音がします。かっこいい。
あと個人的なお気に入りとしては、エンジンを始動した時に「シャリンッ!」というメタル音が刷るんですよ。これがまた・・・かっこいい。
なんともやる気にさせてくれる音なんです。これがなくなってしまうのはちょっとさみしいな。
ツインカーボンクラッチの不満点
交換後にはフライホイールも純正を使います。というか、これが今回のキモ。
カーボンRツインクラッチは軽量フライホイールがセットなわけですが、やはりS15の6速ミッションは軽量フライホイールを入れると共振音がします。共振音は2000〜3000回転辺りが一番音がひどく、特にエンジンブレーキを効かせている時にはかなりのものです。そして5速を使っているときはもっと低回転から中回転辺りまで共振音が鳴り響きます。5速ギアはシャフトが短いから共振しやすいらしいです。
最初はレーシーでいいな〜と思ってたんですけれど・・・もう歳でしょうかね。静かな車内が欲しくなったわけですよ。音と振動とともに遠距離を走ると、身体の疲れが酷くてですね。ちょっとは普通の車に戻ろうかなと、そんな感じです。
それでも交換するクラッチは少しでもレーシーなものがいいと思い、純正交換タイプでもカーボンクラッチをチョイスしたわけです。
カーボン・・・やはりこの単語には特別な響きがありますね。
カーボンブレードクラッチとRG強化クラッチカバーの組み合わせに載せ替え
下準備
踏力を計測しておく
今までどれくらい足の力を使っていたのか、感覚ではなく数字で比較するために踏力を測っておこうと思います。カーボンRツインクラッチはやっぱりペダルが重たくて、クラッチペダルを踏むと身体がシートから浮き上がるくらいでしたからね。
使うものはキャリーバッグを計測するときに使うデジタル計。そしてペダルを繋ぐためのゴムベルト。
デジタル計の両方をゴムベルトで結んで計測します。ゴムの伸びが計測結果に混ざりそうですけれど、クラッチ交換前と交換後、同じ条件で比較できればいいので細かいところは無視します。
意外と適当でしょ?
この計測方法で測ったところ、クラッチの踏力は24kgでした。重たい!
そりゃクラッチを踏むと身体も浮き上がるわけですよ。
載せ替え作業
では早速、本命の作業に入りましょう。
純正フライホイールのパイロットブッシュを新品に交換
250円ほどと安い部品なので、必ず交換しておきましょう。
古いブッシュを使って圧入します。
完了!
シフト周りを分解
分解したあとはサランラップで蓋しておきます。前回すぐに破れてしまったので、今回は2重にしてみました。
下回り分解
ミッションオイルも抜き取ります。わ、ドロドロになってる。
S15の6速ミッションのオイル容量は1.9Lだそうです。
フロントパイプ、触媒などを外していきます。
プロペラシャフトを外したあとは、ビニール袋で蓋しておきます。
バックセンサー。
ミッション周囲のボルトを外してしまえば、ミッションをさっくり降ろしてクラッチとご対面。
2年ぶり〜。
ここまでで2時間かからず。作業が慣れてくると速くなると実感。
ツインカーボンRクラッチを取り外し
クラッチカバー、クラッチプレート、フライホイールと順に外していきましょう。
フライホイールボルトはネジロックを塗布してあるので、ちょっと力が必要かも。
クランクオイルシールは前回交換しておいたので、今回はそのままです。
ミッション搭載の準備
クラッチレリーズベアリングを圧入します。
続いて古いグリスの洗浄から、グリスアップ。
純正フライホイールをネジロックを塗布したフライホイールボルトで固定して(トルク10kgくらい)、芯出しツールを使って中心をキチンと出しておきます。
この芯出しツールも、ほとんど使うことはないだろうと思いながら、結構使ってるなぁ〜。
クラッチとクラッチカバーを固定していきます。
クラッチカバーのボルトはトルク3kgくらいとか(うろ覚え)。締めるときは対角線上に、星を描くように徐々に締めていきましょうね。
完成!
ついでの制音加工
今回はミッションを下ろしたついでに余計なことをしようと思いまして。
それは静音化!
フロアに制振塗料を塗ろうと思います。
使用するのはこれ。ノイズレデューサー ビートソニック AM2WH
2本セットで購入しました。白のほうが300円ほど安かったので、こちらを購入。複数本必要なのでセットでまとめ買いしたほうがお得です。足回りすべてをやる場合は4本セットを購入しておいたほうがいい気がしました。2本ではフロア、フロント足回りまでしか施工できませんでしたね。
クラッチに飛ばないようにビニールを掛けて・・・
これをフロアに吹き付ける!吹き付ける!
乾燥には1時間ほど必要だそうですが、日が落ちかけてきたので作業を進めるため、半乾きのまま進行します。 → 大変でした。できればきちんと乾燥させましょう。
ミッション搭載
そしてミッションの結合です。いつもこの作業が一番大変なんですよね。そりゃそうだ、こんな重たいものを持ち上げながら水平並行を保ちつつ差し込むなんて・・・
はい、ミッション載った!
慣れてくると簡単なものですね。なかなか入らなくて30分近く悶えたけれど。
あとはボルトでミッションハウジングを固定して、外したペラシャ、マフラーを元に戻しておしまいです。
簡単!
レビュー
交換後にまずすることといえば、車両をウマから外してスロープから下ろすわけです。つまり車両をバックするのが最初の作業になるんですが、その時に初めてペダルを踏み込むことになるわけです。
そしたらペダルがスコッっとね!
ペダルがあまりにも軽く感じたので、クラッチの組み込みかミッションの搭載に作業ミスがあったんじゃないかと疑っちゃいましたよ!バルクヘッドぶちぬきそうになるくらいペダルが軽いの!
ペダル踏力を測定
さぁ、驚きのペダル踏力はどれくらいかというと、測ってみました。
・・・17.3kg!
なんと実に28%、3割ほど軽くなったわけです。でも感覚的には半分近く軽くなったように感じますね。まったく踏んでいる気がしません。それほどツインカーボンクラッチの踏力が重すぎたんでしょう。
そりゃ左足もムキムキになるわけですよ。
各部微調整
最後にクラッチのミートポイントが手前に来すぎていたので、それを少し奥に調整しました。
雑感
クラッチ調整後
操作について
ちゃんと半クラッチがある(笑)。広く感じるくらい。カーボンRツインプレートの時よりも、ペダルを離すタイミングを遅くしても大丈夫。ツインプレートの時の半クラッチがなさすぎたんでしょう。まだ完全にアタリはついていないけれど、ノンアスと同じような感じで使えそう。
高回転時の食いつきや、高熱時の滑り具合はまだ試せないので不明
RGの強化クラッチカバーにも関わらず、ペダルの踏力が軽くなった
若干ミートポイントが変わった気がしたので、調整しました
音について
ツインプレートの時のシャリシャリ音はしないし、クラッチを踏んでもシャラシャラいわない
過給音が聞こえるくらい、駆動系が静かになった。これは純正フライホイールのおかげ。加速時にミッションがガラガラ言わないし、エンブレ時にもガラガラ言わない。
効果について
エンジンブレーキの効きが弱くなった。これはフライホイールが純正(12kg)と重くなったことに寄るみたい。当然、加速も鈍く感じるように。
シフトレバーの操作の重さが重くなった。これはクラッチのブレード部分の重さが起因してるみたい。やっぱりツインプレートでもカーボンは軽かったから、シンクロにも優しかったんだろうね。
とにかく扱いやすい。普通の車みたい。
スポーティーさは失われたけれど、とにかく必要としていた踏力の軽さと、共振音からは開放されて満足です・・・。軽量フライホイールを入れたいなら、5速に載せ替えないと無理かなぁ・・・
レビュー 2016年7月4日
カーボンは皮膜が形成されるまで時間がかかる、つまり慣らしに時間がかかるそうなんです。新品のカーボンクラッチだと500-1000kmくらい慣らしが必要ということになりますね。
500kmほど走って気付いたことは、高回転時にクラッチが滑るんです。5000回転でアクセルを全開にすると、回転だけ上がっていってスピードが乗りません。まだ皮膜形成が完全ではないため、もう少し慣らしが必要ということなんでしょうね。
1000km近く走った昨日、ジムカーナに行ったところ、これまで見られた滑りも全くありませんでした。使い心地はノンアスと同じような感覚で、繋がりはカーボンのしっかりさを備えたクラッチだと感じました。
ノンアスの使い勝手とカーボンの食い付きの両立が魅力ですね〜。
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